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月別アーカイブ: 2025年6月

第6回マンション外壁コーキング 完全マスター講座

皆さんこんにちは!


スギテック、更新担当の中西です。

 

 

 

コーキング工事の鉄則とは?~見えない技術で建物を守る職人の心得~

今回は、前回の「歴史編」に続き、**コーキング工事の“鉄則”**についてお話しします。

コーキング工事は一見シンプルな作業に見えますが、失敗すれば雨漏り・カビ・劣化の原因になる、非常に責任の重い仕事です。

ここでは、施工のプロが日々心がけている“現場の掟”を5つに分けて解説します。


鉄則①:下地処理をおろそかにしない

 

コーキング材の密着力は、下地の状態に大きく左右されます。施工前には:

  • 汚れ・ホコリの除去

  • 油分や水分の乾燥

  • 剥離部のサンダー処理

などを徹底し、必要に応じてプライマー(接着促進剤)を丁寧に塗布することが基本中の基本です。

「ここを手抜きした職人は信用されない」と言われるほど、重要な工程です。


鉄則②:適材適所で材料を選ぶ

 

一口にコーキング材といっても、種類はさまざま。

  • ウレタン系:可動部分向き。塗装可能。

  • シリコン系:耐候性抜群だが塗装不可。

  • 変成シリコン:両者のハイブリッドで多用途。

  • アクリル系:室内向け。安価だが耐久性は低い。

現場環境・使用部位・動きの有無・塗装の有無などを考慮し、最適な材料選定が品質の決め手になります。


鉄則③:適切な厚みと幅を守る

 

コーキングは、単に隙間を埋めるのではなく、伸縮に耐える“弾性の層”をつくることが目的です。

  • 薄すぎる → すぐに破断・剥離

  • 厚すぎる → 乾燥不良・表面硬化だけで内部は未硬化

特に**目地幅10mm以上の場合は二面接着(底にバックアップ材使用)**が鉄則です。


鉄則④:温度・湿度・天候に注意する

 

  • 高温時 → 硬化が早く、作業時間が短くなる

  • 低温・多湿 → 硬化不良や白化の原因に

  • 雨天施工 → 接着不良、仕上がりにムラ

特に外壁や屋根まわりでは、天候と時間帯の見極めが品質の差を生むポイントです。


鉄則⑤:仕上がりの美しさは“職人の顔”

 

  • ヘラでのならしの角度と圧力

  • マスキングテープの貼り方・剥がすタイミング

  • 押さえすぎず、ゆるすぎず

これらのバランスが、“ムラのない美しい目地”につながります。施主や管理者が最初に目にするのは、この「見た目」。
つまり、仕上がりがそのまま職人の信頼を決めるのです。


まとめ:コーキング工事に妥協は禁物

 

コーキング工事は、建物の“最後の守り”。
だからこそ、「見えないところで差が出る」「小さな工程が命取りになる」仕事です。

鉄則を守る=建物を守ること。
それを肝に銘じた職人の手が、今日も誰かの暮らしを支えています。

 

 

 

次回もお楽しみに!

 

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第5回マンション外壁コーキング 完全マスター講座

皆さんこんにちは!


スギテック、更新担当の中西です。

 

 

コーキング工事の歴史~建築とともに歩んだ“密閉の技術”~

今回は、建物の目地や隙間を埋めることで水密性・気密性を保つコーキング工事の歴史に注目してみましょう。

目立たない作業ですが、その存在は建築の進化と密接に関係しており、時代ごとに進化してきた“封じる技術”なのです。


■ コーキングとは何か?

 

まず、コーキング工事とは、建物の外壁やサッシまわりなどにできる「目地(すき間)」を、弾力性のある材料(コーキング材)で埋める工事のことを指します。

  • 水の侵入を防ぐ(防水性)

  • 隙間風を遮る(気密性)

  • 揺れや伸縮による建材のひび割れを吸収(追従性)

  • 美観の維持(化粧目地)

そのため、コーキングは**建築物の耐久性を左右する“最後の砦”**とも言える存在なのです。


■ 古代の“すき間埋め”から始まった

 

コーキングの歴史は、実は古代文明までさかのぼります。

  • 古代エジプトやローマでは、石造建築の隙間にタールや粘土を使用

  • 木造船の隙間には麻縄や松脂(ロジン)を詰めて防水処理

これらがいわば“コーキングの原型”。つまり、「隙間を埋めて守る」という発想は、人類共通の知恵でもあるのです。


■ 近代建築の登場とともに進化

 

20世紀初頭、鉄筋コンクリート造やプレキャスト工法の登場により、パネル同士の目地・継ぎ目が増加。これを埋めるための材料として、コーキング材の需要が一気に高まりました。

  • 1950年代:油性パテやアスファルト系シーリング材が普及

  • 1970年代:ウレタン・シリコン系シーリング剤の開発

  • 1980〜90年代:耐久性・弾性を追求した高性能シーリングへ

  • 2000年代以降:ノンブリード・低汚染・環境対応型の製品が主流に

こうして、コーキング材は時代ごとに建築技術や環境課題に合わせて進化してきたのです。


■ 現代における“コーキング”の役割

 

現在の建物は、気密性・断熱性・耐震性・意匠性のすべてが求められる時代。コーキングは単なる目地処理ではなく、以下のような分野にまで応用が広がっています。

  • 高層ビルや複層ガラスの接着

  • パネル間の可動目地処理

  • 外断熱工法での防水シール

  • 太陽光パネルの取付部シール

コーキングの品質が、建物の寿命や資産価値に直結することは、もはや常識となりつつあります。


■ まとめ:コーキングは“建物の呼吸”を守る技術

 

建築が変われば、コーキングの役割も変わる。
コーキングの歴史は、まさに建物を快適・安全に保つための“縁の下の技術”の進化の記録です。

次回は、そんなコーキング工事を行ううえで欠かせない「鉄則」について、現場目線でお話ししていきます。

 

 

 

次回もお楽しみに!

 

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