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皆さんこんにちは!
スギテック、更新担当の中西です。
目次
今回は、建物の目地や隙間を埋めることで水密性・気密性を保つコーキング工事の歴史に注目してみましょう。
目立たない作業ですが、その存在は建築の進化と密接に関係しており、時代ごとに進化してきた“封じる技術”なのです。
まず、コーキング工事とは、建物の外壁やサッシまわりなどにできる「目地(すき間)」を、弾力性のある材料(コーキング材)で埋める工事のことを指します。
水の侵入を防ぐ(防水性)
隙間風を遮る(気密性)
揺れや伸縮による建材のひび割れを吸収(追従性)
美観の維持(化粧目地)
そのため、コーキングは**建築物の耐久性を左右する“最後の砦”**とも言える存在なのです。
コーキングの歴史は、実は古代文明までさかのぼります。
古代エジプトやローマでは、石造建築の隙間にタールや粘土を使用
木造船の隙間には麻縄や松脂(ロジン)を詰めて防水処理
これらがいわば“コーキングの原型”。つまり、「隙間を埋めて守る」という発想は、人類共通の知恵でもあるのです。
20世紀初頭、鉄筋コンクリート造やプレキャスト工法の登場により、パネル同士の目地・継ぎ目が増加。これを埋めるための材料として、コーキング材の需要が一気に高まりました。
1950年代:油性パテやアスファルト系シーリング材が普及
1970年代:ウレタン・シリコン系シーリング剤の開発
1980〜90年代:耐久性・弾性を追求した高性能シーリングへ
2000年代以降:ノンブリード・低汚染・環境対応型の製品が主流に
こうして、コーキング材は時代ごとに建築技術や環境課題に合わせて進化してきたのです。
現在の建物は、気密性・断熱性・耐震性・意匠性のすべてが求められる時代。コーキングは単なる目地処理ではなく、以下のような分野にまで応用が広がっています。
高層ビルや複層ガラスの接着
パネル間の可動目地処理
外断熱工法での防水シール
太陽光パネルの取付部シール
コーキングの品質が、建物の寿命や資産価値に直結することは、もはや常識となりつつあります。
建築が変われば、コーキングの役割も変わる。
コーキングの歴史は、まさに建物を快適・安全に保つための“縁の下の技術”の進化の記録です。
次回は、そんなコーキング工事を行ううえで欠かせない「鉄則」について、現場目線でお話ししていきます。
次回もお楽しみに!