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月別アーカイブ: 2025年5月

第4回マンション外壁コーキング 完全マスター講座

皆さんこんにちは!


スギテック、更新担当の中西です。

 

 

 

【第4回】施工前の下地処理と養生の重要性

~良い材料も“下準備”がなければ実力を発揮できない~

コーキング工事シリーズ第4回は、「下地処理と養生の重要性」について深掘りして一般的な市場での動向を基にご紹介します。

どれほど優れた性能のコーキング材を使っても、それを活かす“土台”が整っていなければ意味がありません。
見た目がきれいであることはもちろん、10年、15年と持続する施工のカギは「下準備」にあるのです。


◆ 下地処理とは?:見えない部分にこそ真価が宿る

 

「下地処理」とは、コーキング材がしっかりと下地に密着し、長く剥がれずに機能するための準備工程です。
実はこの工程こそ、プロの施工品質を左右する重要なステップなのです。


◎下地処理の主な工程とポイント:

① 既存コーキング材の撤去
古いコーキング材をカッターやスクレーパーで丁寧に取り除く作業。
力まかせに引きちぎるのではなく、下地を傷つけずに“根こそぎ除去”する技術が求められます。

② 目地の清掃・脱脂
ほこり、砂、カビ、油分などの汚れは、接着障害となります。
刷毛・エアブロー・アルコールなどを用いて、目に見えないレベルまで徹底的に除去することが大切です。

③ プライマーの塗布
素材とコーキング材の“接着剤”となる下塗り剤(プライマー)を、適切な量と範囲で塗布します。
塗りすぎは硬化不良や変色の原因に。逆に少なすぎても接着力が弱まり、数年で剥がれが起こる可能性があります。


◎下地処理が不十分だとどうなる?

  • コーキングのひび割れ・剥離・膨れが1〜2年で発生

  • 外壁の内部に雨水が侵入し、構造材の腐食・カビ発生に繋がる

  • 補修費用が再施工+内部修繕で高額化

 

つまり、下地処理の良し悪しは、見た目では分からないけれど、結果にははっきり表れるのです。


◆ 養生とは?:仕上がりの美しさを決める“見える職人技”

 

「養生(ようじょう)」とは、作業中に塗料やコーキング材が他の部分に付着しないよう、保護するための作業です。
特にコーキング工事では、目地のラインを美しくまっすぐ仕上げるためのマスキングテープ貼りが欠かせません。


◎なぜ養生がこれほど大切なのか?

  • ラインのブレやにじみがあれば、どれだけ高性能でも“汚い仕上がり”に見える

  • はみ出した材料が周囲に付着すれば、外壁塗装やガラス、金属部分を汚し、修正が困難に

  • 養生の剥がし方一つでも、ラインの精度が変わる

 

プロは、たった数mmの幅にこだわり、均一でピタッと決まった“美ライン”を作る技術を持っています。これは長年の経験がものを言う「職人芸」の一つです。


◎養生のコツと注意点:

  • マスキングテープは接着力が強すぎず、きれいに剥がせる製品を使用

  • コーキング材が完全硬化する前にテープを剥がす(タイミングを間違えるとブチブチに)

  • 気温・湿度・下地材の性質によって、テープの選定や貼り方を調整

 

この養生工程も、「下処理」と並んで施工品質を左右する極めて重要なプロセスなのです。


◆ 現場でよくある「下地処理・養生の失敗例」

 

状況 原因 結果
コーキング材が1年で剥がれる プライマー未使用、古材の撤去不十分 雨水侵入による壁体内腐食
塗膜にブツブツの膨れが出る 下地清掃不足、油分除去せず施工 美観が損なわれ、再施工が必要
目地のラインがガタガタ 養生テープの貼り方が甘い、剥がし遅れ 完成後の見た目が悪く、施主クレームの原因

【まとめ】

 

良い材料を選んだだけでは、良い施工とは言えない。
それを活かすのが、「下地処理」と「養生」なのです。

  • 高性能なコーキング材=スポーツカー

  • 下地と養生=その“足回りと整備”

と考えれば、その重要性はおのずと分かるはずです。


次回もお楽しみに!

 

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第3回マンション外壁コーキング 完全マスター講座

皆さんこんにちは!


スギテック、更新担当の中西です。

 

 

【第3回】材料選びのポイント:耐候性・追従性・意匠性を見極める方法

 

 

 

コーキング工事シリーズの第3回では、「コーキング材選びのポイント」について一般的な市場での動向を基に解説します。

コーキング材は、ただ隙間を埋めればよいのではありません。適材適所の材料選びこそが、仕上がりの耐久性・美観・施工効率に大きく影響します。今回は、プロが重視する「耐候性・追従性・意匠性」の3つの観点から、材料選定の極意をお伝えします。


◆ コーキング材とは? まず基本をおさらい

 

コーキング(シーリング)材は、建物の外壁やサッシの隙間、サイディングの目地、屋根の継ぎ目などに使用される柔軟性のある防水材です。

その役割は主に以下の3つ:

  1. 防水性:雨水や湿気の侵入を防ぐ

  2. 気密性:空気の漏れを防止し、断熱効果を高める

  3. 伸縮対応:温度変化や振動による素材の動きに対応

 

だからこそ、材料選びを誤ると、数年で劣化・ひび割れ・剥離などの不具合に繋がってしまうのです。


◆ 耐候性:紫外線・雨風にどこまで耐えられるか?

 

耐候性とは、日射・風雨・気温差などの自然条件に対して、劣化せずにどれだけ長持ちするかという性能です。

◎注目すべきポイント:

  • シリコン系:紫外線に強く、耐候性に優れる。窓まわりやガラスまわりに最適。

  • 変成シリコン系:耐候性と塗装性のバランスがよく、外壁や屋根にも対応。

  • ポリウレタン系:やや耐候性に劣るが、伸縮性に優れるため屋内や動きの大きい部位に◎。

 

外壁や屋根、特に日差しや風雨の強い南面・西面では、耐候性の高い材料が必須です。


◆ 追従性:動く部材にどれだけフィットできるか?

 

建物は、風・地震・温度変化によって常に「動いて」います。**コーキング材も一緒に伸び縮みできる柔軟性(=追従性)**がなければ、すぐに割れてしまいます。

◎注目すべき数値:

  • 伸び率(伸長性):JIS A 5758における分類(20LM, 25LMなど)で確認。

  • 弾性回復性:元に戻る力。数値が高いほど「ひび割れにくく」なる。

 

外壁目地やALCパネルの継ぎ目など、振動や動きのある場所では高い追従性が求められます。


◆ 意匠性:仕上がりの色味・質感・塗装性も考慮

 

住宅の外観や意匠設計にこだわる現場では、コーキングの仕上がりの美しさ=意匠性も重要です。

◎選定のポイント:

  • カラーバリエーション:外壁材に合わせて、近似色を選択可能か?

  • 塗装の可否:変成シリコンやポリウレタン系は塗装可能。シリコン系は塗装不適合なものが多い。

  • 仕上がりのツヤ感:光沢の有無で、周囲との一体感が変わる。

 

特にリフォームや戸建住宅では、**「塗装と合わせた美しい仕上がり」**が顧客満足に直結します。


【まとめ】

 

コーキング材選びは、見た目・耐久性・機能性すべてに関わる重要な判断ポイントです。

  • 長持ちさせたいなら → 耐候性を重視

  • 動きのある部材なら → 追従性重視

  • 外観の調和を求めるなら → 意匠性重視

「何に使うか」を明確にし、「どんな性能が必要か」を見極める――
それがプロの材料選定です。

次回は、そんな高性能な材料を**正しく機能させるために欠かせない「下地処理と養生の重要性」**についてご紹介します!

 

 

次回もお楽しみに!

 

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